2010年05月31日

サロネン&フィルハーモニア管弦楽団コンサートレポート(5/29 兵庫県立芸術文化センター)

いよいよサロネン&フィルハーモニア管弦楽団のツアーが始まりました。
今回のフィルハーモニア管はすばらしいの一言です。
このオーケストラと指揮者、そしてこの一大イヴェントに華を添えるソリストという組み合わせはめったにありません。

まず英国のオーケストラはなかなか特徴を表現しにくいですが、フィルハーモニア管が、歴代の世界的な指揮者に愛され続けている理由は、特別なサウンドだと言えると思います。それは、本当に簡単に言ってしまえば“音の美しさ”で、その伝統は現在も受け継がれています。

そして、この極上のキャンバスは誰が指揮台に立っても、きれいな「絵」を描くことはできますが、サロネンは「特別」。
ご存知のとおり、今回は、サロネンの就任後初めての日本ツアーです。
彼のフィルハーモニア管との出会いはさかのぼること1983年、ティルソン=トーマスの降板により、大抜擢された若き指揮者はロンドンの桧舞台で、それはセンセーショナルなデビューを飾ったと語り継がれていますが、彼自身が言うように、これは“運命的出会い”だったのでしょう。
サロネンがフィルハーモニア管の指揮台に立つとき何が起こるか。白いキャンバスに指揮者は、まずベースとなる色彩をふんだんに描き、そして仕上げに最後の一筆(一振り)を加えた瞬間、その色彩(オーケストラの演奏)は命が宿ったように感性に操られるがまま、一人でに動き出し、物語を展開していく、といった感じです。(あまりに抽象的ですが、音楽を言葉にすることは難しい。それが素晴らしい音楽だとなおさらなのです!)

まず昨日の演奏会では、サロネン自身の作品から幕開け。これはBBCからの委嘱でゲルギエフのために作曲された作品ですが、現代音楽にありがちな技巧を重視、音楽性無視、というものではなく、オーケストラの機能を熟知したサロネンが音の効果を追求し、ダイナミックスとエネルギーを凝縮した見事な作品です。

次にヒラリー・ハーンのチャイコフスキー。
完成度は150%!驚異的な集中度での演奏を通じて、ハーンという人の凄さを改めて実感した一夜でした。
ここまで自分の音楽を主張するハーンの姿勢には、感銘を通り越して驚愕の域です。
しかし、それが前提で、ソリストの姿勢を理解し、サポートに取り組む指揮者とオーケストラもまた見事です。
ところで今回のドレスはどんな色でしょうか!!?? こちらも乞うご期待!

そして最後にシベリウス交響曲第2番。不動の名曲です。
フィンランド人のサロネンは、決してノスタルジックで民族的になりすぎず、非常に客観的にコントロールされた中で、精神的な躍動や揺らぎ、哀愁など、作品が意図する本髄をしっかりと押さえた演奏でした。
マエストロ サロネンは、音楽に誠実で謙虚で明快というのが、今の時点での感想です。間違いなく歴史に残る極めて優れた音楽家だということは明らかでしょう。

目指しているものははっきりしている。だからこそ欲張らず、年間の半分は作曲の時期に当てているそうです。演奏会の回数を聞いたところ、数えたことはないが、多分25回から多くて30回とのこと。ということは、今年日本で10回以上の演奏が予定されているのですから、なんと私たちは幸運なことでしょう!

今日からのサントリーホールでの公演、どうぞご期待ください。



≪来日公演情報!≫
5月31日(月) 19時開演 サントリーホール
6月2日(水) 19時開演 サントリーホール
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公演の詳細情報はこちらから

posted by Japan Arts at 11:06| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月26日

サロネン、掲載情報

2010年5月26日(水) 朝日新聞 夕刊
サロネン作曲の「へリックス」と公演情報が掲載されました。
posted by Japan Arts at 19:30| メディア情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月25日

絶好調!サロネン&フィルハーモニア管弦楽団

 来日公演を目前に控えたエサ=ペッカ・サロネンとフィルハーモニア管を5月23日に本拠地ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで聴いた。プログラムはベートーヴェンの序曲「命名祝日」、ドヴォルジャークのチェロ協奏曲(独奏:アルバン・ゲルハルト)、そして来日公演でも演奏するシベリウスの交響曲第2番というものベートーヴェンの第一音からこのコンビの現在の絶好調ぶりを確信した。ロイヤル・フェスティヴァル・ホールは日本のコンサート・ホールにくらべれば響きの乏しいホールであるが、冒頭の和音がなんとたっぷり豊潤に響くこと!思わずサントリーホールか楽友協会ホールにいるのかと錯覚しそうだった。たしかにフィルハーモニア管のサウンドは伝統的に名高いが、今ふたたびその輝かしいサウンドがサロネンによって色鮮やかに蘇った印象だ。
 サロネンの手にかかると、めったに演奏されないベートーヴェンの「命名祝日」序曲作品115も、第8交響曲と第9交響曲のあいだに作曲された、ひじょうに工夫を凝らされた作品として立ち上がってくるから不思議だ。古典的な枠組みの中で、驚くような不協和音があったり、第九の第3楽章を予感させる楽想が出現したりと、発見に満ちた秀逸な演奏であった。
 ドヴォルジャークのチェロ協奏曲は、たとえばロストロポーヴィチらの演奏に見られるさまざまな因習(たとえばルバートの多用など)を取り除こうとした現代的なアプローチであった。これは独奏のゲルハルトとサロネンの両者の考えが一致したアプローチだと思われるが、少なくとも第1楽章はきびきびと進みすぎて、やや印象が薄かった。でも続く第2楽章のチェロの情感のこもったソロ、また第3楽章の軽快なテンポ運びとリズム感は新鮮に響いた。
 そしてメインのシベリウスの交響曲第2番。サロネンにとってシベリウスはお国ものだが、本人は長いことシベリウスの音楽に反抗心を持っていたという。先だって行ったインタビューでは、シベリウスの2番はもちろん子供のころから親しんできた曲であるが、実は10代に入った頃からこの曲を激しく嫌うようになったと語ってくれた。以下、インタビューの一部をご紹介しよう。

 「当時はシベリウスの音楽全体が嫌だったのですが、特にこの第2番は愛国主義的な熱情、大仰さ、チャイコフスキー風の大げさで感傷的な感情表現など、私の嫌いなものをすべて象徴するような曲に思えたのです。ただその一方で、私の中のどこかにこの曲に心動かされる部分もあり、知性派かつラディカルな青年であった私としてはひじょうに複雑な思いでした。
 私がシベリウスの音楽に目覚めたのは、80年代前半にミラノでカスティリオーニに作曲を学んでいた時でした。そもそもイタリアに留学した理由のひとつは、シベリウスから逃れられる場所だと思ったからなのです。ある日、作曲のレッスンを終えて近くの古本屋に入ったところ、隅に積んである本の中にシベリウスの『交響曲第7番』のミニチュア・スコアがあって、たしか300リラとか、コーヒー1杯の値段ほどだったので、買い求めてさっそく帰りのバスの中でスコアを読み始めました。そしてその時に初めてシベリウスの音楽がいかにすばらしく独創的で、さまざまなレヴェルで同時に機能しており、曲全体のまとめ方がいかにユニークであるかを悟ったのです。
 今でもその瞬間のことはよく覚えています。それが私がシベリウスの音楽に戻るきっかけとなったのです。シベリウスをシベリウスたらしめているのはいわば有機的な形式とでもいえるプロセスですが、それは『交響曲第2番』において始まるのです。
 このような経緯で私はシベリウスの音楽に戻っていったわけですが、それでも第2番はあまり多く指揮していません。今年は特にこの曲をいろんなところで指揮する予定なので、経験を積んだ指揮者としてこの曲に取り組むことを楽しみにしています。」

 さて、日曜日の演奏を聴くかぎり、もはやサロネンの中にはシベリウスに対するアンビヴァレントな思いはないと見た。シベリウスの第2番においては静寂が重要な役割を果たすが、第1楽章の冒頭の音型は静寂の中からすっと立ち現われるようで、そのさりげない美しさにたちまち引き込まれた。しかも曲を通してたくさんのテンポ・チェンジがあるが、サロネンは有機的なテンポ運びによって、推進力を失うことなく、しかも立体的な響きを築き上げた。まるで深い森の中を歩きながらときおり光が差し込んでくるようなイメージであった。
 サロネンはスコアの深い分析によって曲のそれぞれの局面において作曲家が意図したことを読み取り、それを的確かつダイナミックな棒で表現する手腕に長けている。そしてフィルハーモニア管の奏者たちは全員サロネンのタクトと心をひとつにして、100パーセント打ち込んだ演奏を聴かせた。
 ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでこれだけの輝かしい演奏を聴かせてくれたのだから、日本の各地の音響のすぐれたホールではいっそうの名演を実現してくれることは間違いないところだろう。ぜひ絶好調のサロネン&フィルハーモニア管をお聴き逃しなく!


後藤菜穂子(音楽ジャーナリスト 在ロンドン)



≪来日公演情報!≫
5月31日(月) 19時開演 サントリーホール
6月2日(水) 19時開演 サントリーホール
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東京公演へ向けて、飯森範親と河村尚子よりメッセージ[山形交響楽団]

初日のリハーサルを終え、飯森範親さんと河村尚子さんからコメントが届きました!
河村 「とても楽しいことになりそうです! 東京オペラシティに皆さんどうぞいらしゃってください。」

飯森 「この曲は何度かやってるけど、凄すぎ!河村さんがちょっと弾け過ぎて困っております。ものすごい情熱的な激しく中から湧き出てるような躍動感と言うか。すごいコンサートになりそうですよ。楽しみです。」
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山形交響楽団とショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番を共演する河村尚子さん。
リハーサル後にマエストロと。



≪飯森範親指揮 山形交響楽団 東京特別演奏会≫
2010年6月26日(土) 18時30分開演 東京オペラシティ コンサートホール
曲目:
ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番 Op.72b
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番 Op.35(ピアノ:河村尚子、トランペット:井上直樹)
チャイコフスキー:交響曲第4番 Op.36

<チケット>
インターネット:こちらからご購入
TEL:ジャパン・アーツぴあ 03-5237-7711
詳しい公演情報はこちらから
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2010年05月24日

ヒラリー・ハーン、掲載情報(モーストリー7月号)とCDリリース

2010年7月号『モーストリークラシック』
来日直前、ヒラリー・ハーンのインタビューが掲載されました。
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5月26日には待望のチャイコフスキー録音が遂に登場!
ヒラリー・ハーン/チャイコフスキー&ヒグドン:ヴァイオリン協奏曲
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ヒグドン:ヴァイオリン協奏曲、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団、指揮:ヴァシリー・ペトレンコ
録音:2008年11月(4-6)、2009年5月(1-3) リヴァプール
2,800円(ドイツ・グラモフォン[2010年5月26日発売]
詳しくはこちら

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