2012年05月28日

【レポート】ユーリ・バシュメットによるマスタークラス

5月2日東京音楽大学にて3名の学生を対象にマスタークラスが行われました。
受講生はそれぞれ
 ヒンデミット:白鳥を焼く男より第1楽章
 ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタ
 レーガー:ヴィオラのための無伴奏組曲より第2楽章
を演奏しました。
クラスには約150名もの方々が足を運んでくださり、熱心に見学していました。


 リラックスして、楽器を美しく響かせること、作品のもつ表現を最大限にひきだす説明をする一方で、演奏者は演奏の基本的な事項、テンポ、ダイナミックス、リズム、音程に対する緻密な分析が必要であることを力説していました。
 黒い丸首長袖シャツに黒のデニム・パンツ。眼鏡をややルースに傾けたユーリー・バシュメット氏は、じっと演奏に耳を傾けながら、譜面台の前で緊張気味に音を奏でる演奏者の動きを目で追い、デスク手元のスコアをペンでマークします。
 「ソロの演奏はね“時間”“あなた”“音色“… 全ては貴方が支配するもの。他の誰もいないのです。しっかりと自信を持ってやってみてください。」と、微笑みながらもじっと目を光らせ説明します。3回、4回、最初の部分を演奏してもらい、コメントを繰り返し、丁寧に受講生の方と向き合います。
「まず、出だしは4四拍子」デスクから立ち上がったバシュメット氏は、ステージの上で1・2・3・4・と一歩ずつ歩いてみせて「これが四拍子です」と語りかけます。次に、少し前かがみになり「1・2・3・…4つ…」と半回転してみせます。「今のはこんな風に聴こえましたね?」時には受講生の気持ちを和らげるかのごとくおどけて見せながらも、テンポ、リズムに対しては厳格なまでに何度も力説してました。その上で、聴き手に説得力をもった演奏を行うために何を注意すべきか、全体の構成をどう考えるべきかという話を色々な例えを通じて説明していました。それぞれの受講生の方々の良いところ伝えながら、優しい眼差しで、その人に合った正しい方向へと丁寧に導くバシュメット氏。

 マスタークラスを通じて、あのバシュメット氏の天衣無縫、自由で広がりのある魅力的な演奏の裏に、演奏家としての音楽に対する厳しい姿勢や深い愛情、溢れんばかりのアイデア、驚くばかりの研究、途方もなく時間をかけた試行錯誤がつまっていることを改めて痛感しました。

 今夜のバシュメット氏とモスクワ・ソロイスツの演奏会での彼の演奏がたいへん楽しみです。


ユーリ・バシュメット&モスクワソロイスツ合奏団
ソプラノ:森麻季

2012年5月28日(月)19:00東京オペラシティ コンサートホール

<曲目>
 テレマン:ヴィオラ協奏曲 ト長調 <ヴィオラ:ユーリ・バシュメット>
 バッハ:<ソリスト:森麻季>
  “全地よ神に向かって歓呼せよ”〜カンタータ第51番より
  “あなたがそばにいたら”〜「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖」より
  “至高者よ、あなたの恵みを”〜カンタータ第51番より
 パガニーニ:ヴィオラ協奏曲 〔ヴィオラ:ユーリ・バシュメット〕
 チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ
 チャイコフスキー:弦楽セレナーデ

詳しい公演情報はこちらから

posted by Japan Arts at 11:14| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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